自民党と統一教会③ズブズブの地方議員

 明日から東京都知事選挙が始まります。萩生田前政調会長が露出したせいか、この首都決戦でも「自民党と統一教会の関係」が取り沙汰されています。都知事選のみならず、その先にある国政選、地方選に向け、情報戦&レッテル貼り合戦が始まっているわけです。

 本ブログも過去2回に続き、統一教会の自民党に対する影響力について説明します。最終回である今回は、「地方議員に対する影響力」を取り上げます。

 まずは筆者が経験した、ある地方選の例を紹介しましょう。

 ……当選ラインが3000票弱の都内某選挙区から、ある無所属候補が立候補しました。結果は1500票に届かず落選。その候補は再挑戦を決意し、運よく政党公認も得ました。が、下馬評は芳しくなく、「今回も落ちる」との見方が大勢でした。筆者も「落ちるとしたらあの人だろう」と思っていました。

 ところがフタを開けてみると、その候補は5500を超す票を得て、上位当選したのです。後で聞いた話によれば、その筋では知られた勝共系(つまり統一教会系)の有力者が、密かに動いていたとのこと。およそ3000~4000の統一教会票が、その候補にバッジをつけさせたのです。

 ただし、その地区だけで3000、4000出したのではないと思います。おそらくある程度、「寄せた」のだと思います。上記の勝共系有力者は、その2年後の都議選でも、同じ地区で「大活躍」しました。

「3000~4000票上乗せ」というのは珍しいケースと思われますが、この候補のように、統一教会票が決め手となって当選した市議、区議はたくさんいます。筆者の印象では、都市圏各選挙区に、1人以上はいると思います。市議選・区議選は、だいたい数百票から数千票が当選ライン。3桁、4桁におよぶ統一教会票が、当落を左右することもあるわけです。

 市議や区議を1人抑える。それは、その地区から出ている衆議院議員を動かすことにつながります。

「そんな大げさな」――と思われるかもしれません。なるほど国会議員と地方議員では、世間の評価は天と地以上の差があります。ところが、地元選挙区内の力関係は、必ずしもそうではないのです。

 たまに、国会議員を頂点とし、下の方に市議・区議が位置するピラミッドみたいな図を見かけます。しかし、国会議員からのトップダウンで物事が決まる選挙区は、少数だと見てよいでしょう。

 市議・区議たちがまとまって、衆議院議員に対抗してくる。こんなことはままあります。タカってきたり、嫌がらせをしてきたり、まあ、大人げないことをやってきます。

 小池都知事が初当選した時の騒動を、ご記憶の方もいるでしょう。都議会自民党の連中が、都知事のあいさつ回りを集団ですっぽかし、写真撮影すら拒否しました。ああいう調子です(あそこまで愚かな嫌がらせは、さすがに少ないとは思いますが)。

 多くの市議・区議は、地元有力者との結びつきが深い。それゆえ衆議院議員にとって、市議・区議とは厄介な存在です。選挙で手を抜くぐらいなら――もともと真面目にはやっていませんから――まだいい。下手したら、邪魔をしてきます。そうなると、選対は混乱し、最悪、落選する場合も出てきます。だから、選挙地盤が盤石ではない衆議院議員は、地方議員の連中と、腫れ物に触るように接します。

「安倍派の裏金の相当数が、地方議員に流れた」との報道が出ましたが、うなずける話です。数年前、河井夫妻の選挙違反事件がありました。筆者に言わせれば、あれも主犯は河井夫妻や安倍官邸ではありません。地方議員です。地方議員のタカリ&嫌がらせ体質が、ああいう事件を引き起こしたのだと思います。

 そんな厄介な存在である、地方議員。その中に、統一教会票によって当選したのがいたとすれば――。

 その地方議員の奥にチラつく統一教会に、配慮する衆議院議員も出てくるでしょう。

 また、一人の地方議員と揉めると、他の地方議員がそれに便乗してくるケースもあり得ます。国会議員はそういう泥沼化を避けるため、地方議員がらみの案件は、なるべく穏便に済ませようとします。たとえ、統一教会のようなリスクを抱える案件でも。

 統一教会サイドも、十分理解していると思います。地方議員の、意外に大きい国会議員に対する影響力を。

 昨年行われた統一地方選の後、朝日新聞に興味深い記事が出ました。それによると、統一教会と接点のあった二百数十名の議員のうち、9割超が当選したそうです。それなりの自力を見せた、ということでしょうか。

「あれだけ統一教会が叩かれても当選した。あいつらを切る必要はない。被害者? 日本の財産が奪われた? 北朝鮮に統一マネーが流れた? そんなの関係ない。俺さえバッジを付けて、周囲にデカいツラできればそれでいいのだ」――こう考えたであろう地方議員たち。彼らは今後も統一教会と、密接な関係を保つでしょう。で、時にはその関係を武器に、地元の国会議員をゆさぶるのでしょう。

 以上、3回に渡って、「統一教会の自民党に対する影響力」を解説しました。おさらいしますと以下の通り。

①選挙における票

②選挙におけるマンパワー

③地方議員に対する影響力

 統一教会は、上記の3つを駆使し、自民党に食い込んでいます。「8万票」というフダを持ち、選挙を手伝い、一部地方議員を使っているわけです。

 なにせ8万票を出せる自民党系各種団体は、せいぜい20程度。8万票を出せる宗教団体も、数えるほどしかない。……弱小ではなく、それなりの力があるのです。だからこそ、安倍元首相もリスクを承知で、ビデオメッセージを出したのでしょう。

 プロ野球に無理やりたとえると、中継ぎで3勝ぐらいしている投手、というイメージでしょうか。エースでも守護神でもない。先発ローテーションでもレギュラーでもない。だけど、二軍も含めたプロ野球界全体で見れば、一軍で3勝する投手は上の部類。それに、僅差で優勝争いしている場合、その3勝が運命を左右しかねない。だから放出はできない。……こういったところだと思います。

 統一教会から票をもらい、選挙で支えてもらった議員たち。彼ら彼女らは、今は世間がうるさいので、距離を置いたフリをしています。でも、ほとぼりが冷めれば、また教団に近づくはずです。いや、現在も、裏ではつながっている議員が、たくさんいると思います。今度の都知事選で、ボロを出す議員もいるかもしれません。

 自民党は、「統一教会との関係を断つ」ことを、基本方針としています。これが本当に守られているのかどうか、約束・公約を守れない議員は誰なのか。「統一教会は自民党を支配している」との陰謀論や、その逆張りにすぎない過小評価を排し、冷静に見極めることが肝要です。